厚生労働省によると、令和6年(速報値)の熱中症による死亡者数は30人、休業4日以上の死傷者数は1,195 人でした。死亡災害全30件のうち21件は、体温が高く意識がもうろうとするといった初期症状の放置や、医療機関への搬送などの対応の遅れが主な原因でした。
このような状況を踏まえ、厚生労働省では、労働安全衛生規則を改正(第612条の2を新設)し、夏季に屋外で作業する等、熱中症を生ずるおそれのある作業を行う事業者に対して、熱中症のおそれのある労働者を早期に発見し、作業から離脱させ、身体の冷却、医療機関への搬送等につなげられるよう、事業場ごとに「報告体制の整備」、「これらの作業手順の作成」、「関係労働者への周知」を罰則付きで義務付けることとしました。
この省令改正は、令和7年4月15日に公布され、同年6月1日から施行されます。
当協会では、この法令改正を受けて、熱中症による労働災害を防止するため、すべての職場で熱中症に対する正しい知識、対処法を身に付けた「熱中症予防管理者」(法令上の名称ではありません。)が選任され、実効ある熱中症予防対策を講じていただけるよう、法令改正の内容を折り込んだうえで、厚生労働省通達に示されたカリキュラムに沿った研修を予定しています。法令改正に伴う臨時開催ですので、この機会に受講いただきますようご案内いたします。
6月1日の改正法令の施行に合わせて日程等を調整中ですが、準備が整いましたら別途お知らせいたします。
改正省令(官報)(PDF 135KB)
改正省令のリーフレット(2面構成)(PDF 514KB)
改正省令のパンフレット(8面構成)(PDF 1,308 KB)
【解説】
条文の表現では、義務の対象作業は「暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業」とされています。
一方、リーフレット等では、対象作業について「『WBGT28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は1日4時間を超えて実施』が見込まれる作業」と具体的に記載されています。これは、まだ公表されていませんが、審議会の部会報告でも「効果的な方法を通達等で推奨する」等の記載もありましたので、近く、関係通達で法令の解釈や対策の推奨例等が示されるものと思われます。
関係通達が公表されましたら追加でお知らせいたします。